最初が肝心! 知っておきたい、クレーム初期対応の基本

DI_IMG_5697-thumb-1000xauto-17805

クレームは突然に・・・

サービスや物など何かを提供する仕事をしていると、誰しも避けられないのがお客様からのクレーム対応です。ミス等あきらかにこちらに原因がある場合はもちろん、時には誤解からくるクレームや、理不尽な言いがかり等、予期しない原因やタイミングでクレームは発生します。
そんな時、最初にどう対応するかで、お客様の反応は大きく変わります。今回はその初期対応で気をつけたいポイントをご紹介します。

まずは相手の話を聞きましょう

クレームの内容がわからない限りは、解決出来ません。まずは相手の話をきちんと聞いて、原因や状況を整理しましょう。よくあるのは、怒りを鎮めようと、「とにかく謝れば相手の気もすむだろう」と上辺だけの謝罪をしてしまい、余計に大きなクレームに発展してしまうケースです。どうして相手が怒っているのか、何を求められているのかを聞き出すために、次の3つの点に気をつけて話を聞きましょう。

① 話し合いの場を用意する

落ち着いて話をしてもらうために、可能であれば別室を用意します。例えば店内の場合はフロアの真ん中やレジ前などで声を荒げられると他のお客様に迷惑にもなりますので、なるべく人目に触れにくい静かな場所に誘導します。場所を移すことで、興奮状態の相手が少しクールダウンするという効果もあります。また、クレームを言ってこられるお客様も、たいていは周りの目を気にされています。自分ばかりが悪いように思われるかもという不安は、より頑な態度となって現れてしまいますので、双方のためにも、落ち着いて話が出来る雰囲気作りというのは、とても大切なのです。

②相手のターン(話)が終わるまで待つ

クレームを受けた時、とっさに人は相手の話を攻撃と捉えてしまい、何とか自分あるいは店や会社を守ろうとして、ついつい応戦(反論)しようとしてしまいます。
そうなると水掛け論になってしまい、クレームは長引き、さらに状況は悪化してしまう可能性があります。
たとえ相手が間違ったことを言っていたとしても、この段階では決して途中で「お言葉ですが」などと割って入ってはいけません。相手の主張を否定する発言は心の中にしまっておき、まずは相手に思いの丈をぶつけてもらいましょう。

② 相づちで、味方だというアピールをする

聞き手に徹するとは言っても、相手が話している間、ずっと黙り込んでしまうと「ちゃんと聞いてるのか」と余計に相手の怒りを煽ってしまうことがあります。もっともだと思うポイントがあれば、すかさず「そうですね」など相づちを打ちます。ただし、うっかり調子に乗りすぎてお客様と会社を非難する、などはやり過ぎです。後で話をややこしくするだけなので注意しましょう。
たとえば、相手の言葉を聞いていることを示すには前述の「そうですね」の他に「なるほど」「はい」など、同意や共感を示すには「ごもっともです」「仰ることはわかります」、驚きを示すには「そのようなことがあったのですか」「それは驚きましたね」などの言葉があります。これらを使い分けると、より効果的です。
うまく相づちを打つことで、お客様は「この人は自分の気持ちを分かってくれる」=「この人は味方だ」と認識して、心を開いてくれます。
この時点で「あなたに話を聞いてもらえて気が済んだ」とすっきりした顔で帰られたというケースも実際にありました。

『お詫びの一言』を使いこなそう

お客様のターンが終われば、いよいよこちらの番ですが、本題に入る前に、まずはお詫びの言葉を一言述べてから話しましょう。
こちらに過失が無い理不尽なクレームなどの場合、「安易に謝ってはいけない」と会社や上司から指導されている方もいらっしゃるかと思います。最近は金銭の要求などを目的とした悪質なクレームも増えていますから、そういった場合は毅然とした態度で臨まなければいけないのはもっともな話です。
とは言え、このままでは相手の気持ちが収まりません。心情はお察ししますが…という意味合いのお詫びを最初に言うことで、相手にこちらの話も聞き入れてもらいやすくなります。
謝罪とお詫びとは違います。こちらの不手際を認めて謝罪した、というわけではなく、『相手が今現在怒っている』という状況に対して、申し訳ないという気持ちを表すのです。
例えば、何か商品に不具合があったなどの場合であれば、その原因についてではなく、結果として不便をかけたという事実に対して「ご不便をおかけして申し訳ございません」、商品ではなくサービスなどのご不満で不快な思いをされたのであれば、「ご不快な思いをさせて申し訳ございません」など、状況によってお詫びの言葉を述べましょう。

他の人に引き継ぐ場合の注意点

相手の意見を尊重し、共感を示したうえで、明らかもにこちら側のミスであれば心を込めた謝罪を行ったり、相手の勘違いであれば丁寧に説明したりするなど、自分でできることがあれば対応をします。
ただし、自分では権限がなくて対処できないケースや、担当者が別にいる場合、自己判断で無理に解決しようとせず、上司や担当者に引き継ぎましょう。もちろん、それまでに聞いた内容は必ず伝えるようにします。お客様に同じ内容を2度も話させるようなことにはならないように気を付けましょう。その際、どうしても相手を待たせてしまうことになりますが、気をつけたいのは席を外す前の一言です。
「少々お待ちください」
つい言ってしまいがちなフレーズですが、これが場合によって、さらにクレームの原因になってしまう事があります。
どうしてかと思われる方に質問です。
「少々というのは何分のことでしょうか?」
一般的に5分と言われていますが、人によっては3分という方もいらっしゃいます。このように、必ずしも自分と相手の認識が同じとは限らないので気をつけましょう。
特に待たされる側は実際の時間より長く感じるものなので、たとえ3分でも「少々と言っておきながら、いつまで待たせるんだ」となってしまいかねません。
3分以上待ってもらう場合は、できれば具体的に時間を伝えた方が望ましいでしょう。

ちなみに電話でのクレームの場合は、さらに注意が必要です。相手からかかってきた電話であれば、少々と言えばせいぜい長くても1分で、それ以上は待たせすぎです。マナーとして相手に料金の負担をかけないようにしましょう。必ずこちらから折り返し連絡をするということと、その理由を伝えれば、相手も納得してくれやすいでしょう。

最後に

どんなときも、お客様の気持ちに寄り添い、何を求めておられるか、自分に何ができるかを一生懸命に考えてながら対応すると、その気持ちは相手に届きます。親身になってクレーム対応をしたことを機に、お客様からゆるぎない信頼を得ることもあります。
もともとクレームの多くは、お客様がサービスや商品に対して持っておられた期待の裏返しです。お店や企業として、あるいは個人としても成長するために必要な意見でもあるので、そういった内容で来られた方には、「貴重な意見をありがとうございました」と感謝の言葉で締めくくりたいものですね。

スポンサーリンク
  • このエントリーをはてなブックマークに追加
スポンサーリンク